16世紀に建立されたスペイン様式の教会群、フィリピンのバロック様式教会群

フィリピンのバロック様式教会群は、フィリピンのルソン島のマニラ、パオアイや、パナイ島のミアガオなどに残る、スペイン様式の教会です。1993年にフィリピン初の世界遺産(文化遺産)として登録されています。

フィリピンのバロック様式教会群の解説・紹介

「フィリピンのバロック様式教会群」は、具体的には、フィリピンがスペイン統治下にあった16世紀に建てられた4つの教会から構成されています。

  • マニラ:サン・アグスチン教会 / San Agustin Church in Manila
  • パオアイ:サン・アグスチン教会 / San Agustin Church in Paoay, Ilocos Norte
  • サンタ・マリア:アスンシオン教会 / Santa Maria Church in Santa Maria, Ilocos Sur
  • パナイ島ミアガオ:ビリャヌエバ教会 / Sto. Tomas de Villanueva Church in Miag-ao, Iloilo

いずれもスペインの植民地支配下、ヨーロッパのバロック建築の影響を受けたによって出来た石造りの教会です。

マニラ:サン・アグスチン教会 / San Agustin Church in Manila

マニラにあるサン・アグスチン教会は、スペイン統治時代の16世紀に作られたマニラ最古の地区の一つと言われる「イントラムロス」内にあります。

イントラムロスは1571年に、スペイン人がフィリピン統治のために建てたマニラ最古の旧城壁都市です。今なお、16世紀の面影を残す街並みが残されています。

サン・アグスチン教会は、1599~1606年に建てられたフィリピン初のスペイン建築様式の教会です。石造りの教会としてはフィリピン最古の教会です。

教会内は、パリから取り寄せられたシャンデリアやイタリア人アーティストによる壁画や祭壇があり、荘厳な雰囲気に包まれた礼拝堂には美しいステンドグラスの窓があります。天井と壁には壁画が残されています。

また、敷地内にはプライベート・ミュージアムが併設されており、聖人を描いた巨大な油絵26枚や、スペイン移民の富豪、ルイス・アラネタ氏のアンティーク調度品、植民地時代の芸術作品などが所蔵されています。

  • Tel (+63)2-8527-2746

パオアイ:サン・アグスチン教会 / San Agustin Church in Paoay, Ilocos Norte

「サン・アグスティン教会」は、フィリピンのルソン島北部に位置するイロコス・ノルテ州のパオアイ市に建つ教会です。パオアイのサン・アグスティン教会 (San Agustin Church of Paoay)、あるいは「パオアイ教会」(Paoay Church) と呼ばれています。

大聖堂とベルタワーは、1694年に着工し、1710年に完成。大聖堂は両側面と背面に、多数の控壁(ひかえかべ)がある特徴的な外観を備えています。

サンタ・マリア:アスンシオン教会 / Santa Maria Church in Santa Maria, Ilocos Sur

18世紀に建造された「サンタ・マリア:アスンシオン教会」は、「ヌエストラ・セニョーラ・デラ・アスンシオン教会」(Santa Maria Church/Nuestra Senora de la Asuncion Church)が正式名称ですが、イロコススールのサンタ・マリア町にあることから、「サンタ・マリア教会」(Santa Maria Church)と呼ばれています。

丘の上にある教会まで石段を登ると、聖母アスンシオンのレリーフが現れます。巨大な赤レンガが教会全体を包みこんでおり、厳かな雰囲気を醸し出しています。

  • 営業時間 08:00〜18:00
  • 住所 4 Santa Maria – Burgos Rd, Santa Maria, Ilocos Sur
  • Tel (+63)72-888-2411
  • アクセス ラワグから車で約2時間30分、 ビガンから車で約60分。マニラから長距離バス・車で約7時間。

パナイ島ミアガオ:ビリャヌエバ教会 / Sto. Tomas de Villanueva Church in Miag-ao

フィリピン中部、パナイ島のイロイロ市の西方に位置するミアガオ市にあるローマ・カトリック教会です。正式名称は「サント・トーマス・デ・ビリャヌエバ教会」(Santo Tomas de Villanueva)ですが、ミアガオにあることから「ミアガオ教会」(Miag Ao Church)と呼ばれています。当時、ムスリムからの攻撃に備えて、要塞としての顔を備えています。

スペイン統治時代の1787年〜1797年にかけて建設された教会は、地震に備えて堅牢な控壁(ひかえかべ)がある特徴的な外観を備えています。
バロック様式に、中国・フィリピンの様式が混ざった他に類を見ない教会とされています。

建材としてサンゴや石灰岩などが材料で使われたことから、教会全体が蜂蜜色をしており、ことに夕暮れ時は美しい輝きを発しています。

  • 住所 Zulueta Ave, Miagao, 5023 Iloilo
  • Tel (+63)72-888-2411
  • アクセス イロイロ市のモロバスターミナルからバスで約1時間。

フィリピンのバロック様式教会群の詳細地図

フィリピンのバロック様式教会群の概要

名称 / 英語名
フィリピンのバロック様式教会群 / Baroque Churches of the Philippines
種別
文化遺産
登録基準
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積。
登録年
1993年
公式サイト
ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の Baroque Churches of the Philippines