古代チャム族が築いたチャンパ王国の遺跡、ミーソン聖域 / My Son Sanctuary

ミーソン聖域(My Son Sanctuary / Thánh địa Mỹ Sơn)は、ベトナム中部のダナンより南東43km、ホイアンの南西約40キロ、ベトナム中部トラキエウの西方約15kmの距離に位置するヒンドゥー教の遺跡です。

ミーソン聖域の解説・紹介

チャンパ王国(林邑)は、2世紀末、海洋民族だったチャム人が築き、15世紀にベトナムに滅ぼされるまで海上貿易によって発展しました。

ミーソンは、チャム族が築いた古代チャンパ王国の王都であり、チャンパ王国の宗教であるヒンドゥー教シヴァ派の聖地でした。

ミーソン遺跡の近くには、大河トゥーボン川が流れ、川の女神を祀る秋盆夫人祠とサンスクリット碑文があります。トゥーボン川の中流には王都チャキエウ遺跡があり、河口には近世に日本人町が栄えた港町ホイアンがあります。

現在のホイアン周辺は、当時の経済の中心となる都市。一方、ミーソンは宗教の中心の場所として栄えたとみなされています。

チャンパ王国の滅びた後は、フランス統治時代の1885年にフにフランス人によって発見されるまでは、森林地帯と見なされていました。

長く続いたベトナム戦争の影響から1969年頃にミーソン聖域の貴重な祠堂が破壊されてしまいましたが、その希少性が認められ、1999年に世界遺産に登録されています。

ミーソン聖域では、現在も数カ国の支援・援助を受けて、修復・保護・観光推進事業が続けられています。

ミーソン聖域の見どころ

ミーソン聖域のサンスクリット語の正式名称は「シュリーシャーナバドレーシュヴァラ」といい、聖山マハーパルヴァタを望むミーソン圏谷にあります。

ミーソン遺跡群は、駐車場の隣にある入口で入場チケットを購入した後、カートに乗って遺跡エリアまで移動する形になります。

ミーソンには、赤レンガ作りのチャンパ塔など、7世紀から13世紀にかけての遺構が残されています。

4世紀に建造されたリンガ寺院をはじめ、マハーバルバタの麓にある70を越える赤レンガ造りの仏塔遺跡は、セメントや漆喰などを使用せず建造されており、見事な建築技法を見ることができます。

祠の内部にある壁や基壇の彫刻などから、インド系のヒンドゥー建築の影響を受けていたことが伺えます。

カンボジアのアンコールワットにも見られるように東南アジアにヒンドゥー文化が伝来した歴史を今に伝えています。

ミーソン遺跡内の展示室とチャム伝統舞踊

ミーソン遺跡の入口ゲートの右横には、ミーソン遺跡の展示室があります。日本政府が協力して建設したもので、チャム遺跡の銅像、彫刻などが展示されています。

また、ダナン市内にあるチャム博物館をはじめ、ハノイ、ホーチミンの歴史博物館にもチャム王国時代の遺物が収蔵・展示されています。

中でもダナン市のチャム博物館は、ベトナム国内で随一豊富にチャム王国時代の遺物を所蔵・保管していることで知られています。古代チャム族の貴重な彫刻芸術品、石像等が幅広く収蔵されています。

そして、見逃せないのがミーソン遺跡内で催されるチャム伝統舞踊のステージです。

約20分ほどの短いステージですが、毎日1日に4回ほど催されています。チャムの伝統舞踊のステージが催されています。

中でも天女に扮した女性がシヴァ神に祈りを捧げる宮廷舞踊・アプサラダンスは、その洗練された舞踊スタイルが人気です。

住所
My Son, Duy Xuyen, Quang Nam
時間
06:00~17:00
閉館日
無休
入場
大人130,000ベトナムドン(約730円)

ミーソン聖域へのアクセス方法

公共交通機関はないため、個人で訪れる場合は、タクシーでのアクセスが一般的です。ダナンやホイアンから車で約1時間余りです。

オススメは、現地ツアーに参加して訪れる方法です。バスの送迎付きのため、移動も楽です。英語ガイドだけでなく、日本語によるガイド付きのツアーもあります。

料金は、ホイアンあるいはダナンから4時間の日帰りコースのツアーの場合、800,000ベトナムドン(約4600円)が目安です。

なお、ミーソン聖域一帯は強い日差しを遮るものがないため、熱中症対策は必須です。必ず暑さ対策・日焼け対策をしっかり行って訪れましょう。

ミーソン聖域の詳細地図

ミーソン聖域の概要

名称 / 英語名
ミーソン聖域 / My Son Sanctuary
種別
文化遺産
登録基準
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
登録基準とは
登録年
1999年
公式サイト
ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の My Son Sanctuary ページ