ホイアンは、ベトナム中部のクアンナム省ダナンから南に約30キロ、トゥボン川の河口に位置する古い港町です。
その歴史はチャンパ王国時代にまで遡います。16世紀にチャンパが南に後退し、フエに広南阮氏政権が樹立されると、ポルトガル人、オランダ人、中国人、日本人が来航して、絹(シルク)、お茶、コーヒー、カシューナッツなどの国際貿易都市として栄えました。
歴史的建造物が並ぶ街並みは、ベトナム屈指の観光地として多くの旅行者が訪れています。
古都ホイアンの解説・紹介
国際貿易都市として栄えたホイアンには、かつて中国やポルトガル、日本、フランスの商人が定住。日本とも深い関わりのある町です。
1601年に広南阮氏が徳川家康に書簡を送って正式な国交を求め、江戸幕府との取り引きが急速に拡大。ホイアンには大規模な日本人街や中国人街が形成されました。
当時は日本人町があったとされ、交易の証とも言える伊万里焼の磁器も発見されています。
繁栄を誇ったホイアンですが、その後、江戸幕府の鎖国により、日本人の往来が途絶え、オランダの商館も1639年に閉鎖。1770年代には西山(タイソン)党の乱によって町は完全に破壊されましたが、やがて再建されて19世紀まで繁栄しました。
現在のホイアンの町並みは、18世紀後半以降のもので、多様な文化が混じった町並みが、当時の繁栄ぶりを今に伝えています。
1593年に日本人が建設した「来遠橋」(カウライヴィエン橋)、別名「日本橋」
約30年間に渡って、日本との間で朱印船貿易が行われ、ホイアンには大規模な日本人街や中国人街が形成。1623年にはオランダ東インド会社の商館も設けられ、繁栄しました。
そのため、江戸時代の日本人のお墓や、1593年に日本人が建設した、屋根付きの「来遠橋」(カウライヴィエン橋)等が残されています。
「来遠橋」は幅3メートル、長さ18メートルの屋根付き太鼓橋で、別名「日本橋」。夜になると、華麗にライトアップされ、ホイアンの観光スポットとなっています。
- 住所
- West end of Tran Phu
- 営業時間
- 08:00~22:00
- 入場料
- チケット代金のみで入場可
- 休館日
- 無休
3ヵ国の建築様式が混合するフーンフンの家(馮興家)
「来遠橋」(カウライヴィエン橋)から歩いて1分程の距離にある「フーンフンの家(馮興家)」(Nhà cổ Phùng Hưng)は、18世紀のホイアンを彷彿とされる古民家です。
約200年前に中国の貿易商人の豪商によって建てられた家です。
土壁はベトナム式、柱や扉は中華式、そして屋根は日本式と、3ヵ国の建築様式が混合したレトロ感漂う歴史的建造物です。国際都市ホイアンを象徴する建造物として見応えがあります。
現在も8代目の子孫が住んでいますが、1階から2階まで見学することができます。
鯉の装飾が施された2階のテラス席からは、来遠橋から通りを往来をする人々など、ホイアンの旧市街地を望むことができます。
- 住所
- 4 Nguyen thi Minh Khai
- 営業時間
- 08:00~18:30
- 入場料
- チケット代金のみで入場可
- 休館日
- 無休
福建会館
来遠橋からチャンフー通り沿いに徒歩10分ほど歩くと、福建会館があります。
福建会館は、17世紀にホイアンに住んでいた福健省出身の華僑によって建てられた会館で、ホイアンの歴史的建造物の中で見逃せない歴史的建造物です。
航海の安全を守る女神「天后聖母(ティエンハウ)」を祀る荘厳な華僑寺院です。
豪華絢爛な装飾で彩られた門をくぐると、華やかな中華様式の庭園があり、さらに「天后宮」があります。
天后宮内の天井からは、大きなうず巻型の赤い線香が天井からつり下げられており、中華式の祈りを捧げる信者の姿を見ることができます。
- 住所
- 46 Tran Phu, Hoi An
- 営業時間
- 08:00~18:30
- 入場料
- チケット代金のみで入場可
- 休館日
- 無休
ホイアンのナイトマーケットを彩るランタン
来遠橋から東に向かって伸びているホイアンのメインストリート「チャンフー通り」では、ナイトマーケットが開催されます。
ベトナムの伝統的な平家屋を改装して、ベトナムの伝統工芸品やアクセサリーなどを扱う雑貨・お土産ショップをはじめ、洒落たレストランやカフェ、あるいは路面ショップや屋台などが100メートル以上に渡ってズラリと並びます。
夜の帳が落ち頃には、「チャンフー通り」一帯は、赤・青・白・黄色など色とりどりのランタンが灯り、見るものを魅惑するような幻想的な光景が出現します。
インスタ映えするスポットで、屋台等で食べ歩きをしながらショッピングを楽しむことができます。
ホイアン名物のランタンも、大小様々なランタンを購入することもできます。
なお、ホイアンでは、毎月旧暦の14日(満月の夜)に、ホイアン・ランタン祭りが催されます。街灯を消して、満月とランタンだけの光で輝く、幻想的な風景が出現するマジックアワーです。
トゥボン川岸の灯籠流し
ホイアンの旧市街地を流れるトゥボン川では、灯籠流しを楽しむことができます。
日中のトゥボン川岸は、川沿いの旧市街の街並みが美しい情景を形作っていますが、夜になると灯籠流しが行われ、魅惑的な幻想世界に包まれます。
蓮の花をモチーフとしたランタンが川辺を流れていく様子は、プライスレス! 特別なベトナム旅行の一時を堪能することができます。
ホイアンへのアクセス
ホイアンは、ベトナム中部の都市、ダナン市内からは車で約30分ほどの距離です。
ダナンからは、タクシー、公共バス、シャトルバスのいずれかの方法でアクセスすることができます。
ベトナムに慣れていない方ならタクシーがおすすめ。バジェット派旅行者ならば、ダナン市街地からホイアンまで公共バスが約30分間隔で運行しています。
なお、ダナン空港からホイアンへ向かう方は、「Hoi an Express」というシャトルバス等が運航しています。
- タクシー:350,000~450,000ベトナム・ドン(2,000円~2,500円)
- 公共バス:10,000ベトナム・ドン(約500円)
- シャトルバス(ダナン空港発):110,000ベトナム・ドン(約600円)
ホイアンの詳細地図
世界遺産 古都ホイアンの概要
- 名称 / 英語名
- 古都ホイアン / Hoi An Ancient Town
- 種別
- 文化遺産
- 登録基準
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(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。 - 登録年
- 1999年
- 公式サイト
- ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の Hoi An Ancient Town ページ